第1条   人と与に善を為す

言葉で善を言うのではなく、人々の中にあって人々が善い事をしようとするように誘い導いていくことです。

 

第2条   愛敬心に存す

愛敬の、まず愛とは仁、おもいやりのこと、敬とは礼、うやまいのことをいいます。心に存するとは、日頃から絶えず努めるという心を持ち続けて、決して忘れないということです。

 

第3条   人の美を成す

人の美を成すとは、人が持っている善い点をさらに美しいものにしていくことです。玉(宝石)も琢かなければ石瓦と同様で輝きません。

 

第4条   人に善を勧める

およそほとんどの人の心の底には善き心のない人は一人もいないのです。

 

第5条   人の危急を救う

人の危急を救うとは、たいそう困っている人を救ってあげることです。

 

第6条   大利を興し建てる

大利を興し建てるとは、大きくいえば、国あるいは郡、また小さいところでは村里などにおいて、自分の力想応に自分のできることを成す事です。

 

第7条   財を捨てて福を作す

仏教では万行の中でも布施の行を第一としています。この布施の二文字を要約していえば、捨という一字になります。だから条目でも財を施すとはいわないで、財を捨てるというのです。

 

第8条   正法を護持する

正法を護持するとは、孔子が説いた儒教や釈迦が説いた仏教の教えを束ねて正法というのです。

 

第9条   尊長を敬重す

尊長とは、家では年老いた祖父母や父母、兄姉をいい、世の中では社会で地位の高い人、道徳の高い人、学問よ知識のすぐれた人をいいます。 自分よりも年上の人を敬うことをいいます。

 

第10条  物の命を愛惜す

物の命を愛惜すとは殺生することを戒めることです。